2021年6月に育児・介護休業法が改正され、2022年4月1日、10月1日より段階的に施行されます。今回の改正では、男性の育児休業取得促進のための枠組みが新たに追加され、この他にも、育児休業を取得しやすい環境整備や従業員への個別の周知・意向確認なども義務化されました。以下、順次行われる育児・介護休業法の改正内容についてお知らせします。
有期雇用労働者に係る要件緩和
従来は、育児休業・介護休業とも、有期雇用労働者については、「引き続き雇用された期間が1年以上」であることが、取得要件とされていました。
今回の改正で、上記要件は廃止され、有期雇用労働者の適用要件は、以下のもののみになりました。
<育児休業> 養育する子が、1歳6か月に達するまでに、その労働契約が満了することが明らかでない者 <介護休業> 休業開始予定日から起算して 93 日を経過する日から6月を経過する日までに、その労働契約が満了することが明らかでない者
なお、労使協定を締結すれば、引き続き雇用された期間が1年未満の者からの休業申出を拒むことができます。
※この休業取得要件の緩和と連動して、雇用保険法(育児休業給付、介護休業給付に関する規定)も改正されています。
周知・意向の確認
従来から、事業主に対し、育児・介護休業期間中の待遇などにつき、労働者に周知すべき努力義務が課されていました。
改正により、事業主には、上記の努力義務に加え、労働者が事業主に対し、本人又は配偶者が妊娠又は出産したこと等の事実を申し出たときは、以下の措置を講ずる義務が課されました。
①当該労働者に、育児休業に関する制度等の事項を知らせる ②育児休業申出に係る労働者の意向確認のための面談等を行う
なお、事業主は、労働者が上記の申出をしたことを理由として、当該労働者に対し、不利益な取扱いをしてはなりません。また、休業取得を控えさせるような形で行ってはなりません。
■個別の周知が必要となった事項(以下のすべて)
①育児休業に関する制度 ②育児休業申出の申出先 ③雇用保険法の育児休業給付 ④労働者が育児休業期間に負担すべき社会保険料の取扱い
※10 月1日以降は、「出生時育児休業」も含めた周知が必要
■労働者への周知方法
①面談による方法(オンライン可) ②書面を交付する方法 ③FAX又は電子メール等を送信する方法(労働者が希望する場合に限定)
■意向確認の措置
・面談(オンライン可)法的義務はないが、記録を作成すべき ・書面の交付 ・FAX又は電子メール等の送信(労働者が希望する場合に限定)
※上記のいずれかの方法で、労働者に働きかければよいとされています。また、意向には、「取得するかわらない」という場合も含みます。
雇用環境の整備
従来から、事業主には、育児休業又は介護休業をする労働者が雇用される事業所における労働者の配置等の雇用管理などについて、必要な措置を講ずべき努力義務が課されました。
今回の改正により、育児休業申出を円滑に行われるようにするため、上記の努力義務に加え、事業主に以下のいずれかの措置を講ずべき義務を課しました。
①育児休業に係る研修の実施 ②育児休業に関する相談体制の整備 ③自社の労働者の育児休業取得に関する事例の収集・提供 ④自社の育児休業等の内容、育休取得促進に関する 方針の周知
10月1日から施行される改正事項
①出生時育児休業制度(産後パパ育休)の創設
男性の育休取得促進をめざし、子の出生日から起算して、8週間を経過する日の翌日までに4週間以内の期間を定めてする休業を創設することが可能となりました。従来の育休に比べ、以下のような特色があります。
・休業の申出は、2週間前まで可能 ・2回までの分割取得が可能 ・労使協定により、合意の範囲内で、休業中の就業も可能
なお、事業主は、労働者が出生時育児休業、休業中の就労に関する申出等をしたことを理由に不利益な取扱いをしてはなら
いとされています。
②育児休業の分割取得
一般の育児休業についても、2回までの分割取得が認められるようになります。
なお、出生時育児休業の場合は、初回にまとめて、分割取得の申出をしますが、一般の育児休業では、それぞれの休業前に申出を行うことになります。
※これらの改正と連動して、雇用保険法(育児休業給付に関する規定)も改正されます。
☞「出生時育児休業給付金」を創設
参考:【厚生労働省】