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社会保険(健康保険・厚生年金保険)適用拡大における要件 ⑤「学生でないこと」について

令和4年10月1日から短時間労働者に対する厚生年金保険・健康保険の適用が更に拡大されます。これにより、今まで要件を満たさず社会保険の加入対象となっていなかったパートやアルバイトなどの短時間労働者も、一定の要件を満たすことで社会保険の加入対象となります。

ただ、この要件は分かりづらい点もあるので、現行の制度をおさらいをしながら、新たな制度そして今回の記事で私が一番皆さんにお伝えしたい「学生でないこと」について、述べたいと思います。

目次

現行の制度

①被保険者(短時間労働者を除く)の総数が常時500人を超える事業所
②1週の所定労働時間が20時間以上であること
③雇用期間が1年以上見込まれること
④月額賃金が8.8万円以上であること
⑤学生でないこと

令和4年10月1日以降の取扱い

①被保険者(短時間労働者を除く)の総数が常時100人を超える事業所
②1週の所定労働時間が20時間以上であること
③雇用期間が2か月を超えて見込まれること
④月額賃金が8.8万円以上であること
⑤学生でないこと

今回の改正で、上記①と③に変更があり、該当する可能性のある企業は対応が必要となってきます。

  •  企業規模の要件
    (変更前)被保険者(短時間労働者を除く)の総数が常時500人を超える事業所
    (変更後)被保険者(短時間労働者を除く)の総数が常時100人を超える事業所
  •  短時間労働者の適用要件
    (変更前)雇用期間が1年以上見込まれること
    (変更後)雇用期間が2カ月を超えて見込まれること(通常の被保険者と同じ)

詳しくは、https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2021/0219.html

要件の1つ「学生でないこと」

ここからが本題ですが、要件の1つである「学生でないこと」の要件について、「学生」とは皆さんはどのようなイメージを持たれていますか?だいたいイメージされるのは、昼間の学生を想像されると思います。厳密には、主に高等学校の生徒、大学又は短期大学の学生、専修学校に在学する生徒等※が該当しますが、「卒業した後も引き続き当該適用事業所に使用されることとなっている者、休学中の者、定時制課程及び通信制課程に在学する者、その他これらに準じる者(いわゆる社会人大学院生等)」は対象から除かれることとなります。

※(参考)厚生年金保険法施行規則第9条の6に規定する学生

・高等学校に在学する生徒
・中等教育学校に在学する生徒
・特別支援学校に在学する生徒
・大学(大学院を含む)に在学する学生
・短期大学に在学する学生
・高等専門学校に在学する学生
・専修学校に在学する生徒
・各種学校に在学する生徒(修業年限が1年以上である課程を履修する者に限る)
・上記の教育施設に準ずる教育施設に在学する生徒又は学生

この「学生」の定義に、テレビ・ラジオ・インターネットで学習可能なH大学の学生が該当するかどうか、実務上気になったので、複数の年金事務所に確認しましたが、明確な回答が得られませんでした。(ある年金事務所では、分かりませんとの回答も・・・・)

最後に

最終的には、「⑤の要件に該当する可能性はあるとは言えるが、はっきり該当しないとも言えない」との回答だったので、直ちに調査等で指摘されるものではないかと思いますし、根拠となる明確な通達がないのでケースバイケースの個別事案になると思います。このように、行政に確認しても明確な回答が出ない時が一番悩ましいですが、今後も気になったら一つ一つ丁寧に確認をしていこうと思います。また、次回以降も、他の要件について考えをまとめていきたいと思います。

この記事を書いているのは・・・
八重樫 一行(やえがし かずゆき)/特定社会保険労務士
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