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今年は男性育休が変わります。

2022年4月に改正育児・介護休業法が施行され、企業に対して育児休業を取得しやすい雇用環境の整備と、妊娠・出産を申し出た労働者に対する個別の周知・意向確認の措置が義務付けられました。そして2022年10月には、新たに「産後パパ育休」の制度も施行されます。

これら一連の制度改正における目的の一つは、父親が育休を取りやすい環境を整えることにあります。そこで今回は、実際に男性が育休を取る際に気を付けたいことについて私なりにポイントをまとめました。

目次

男性育休とは?

育児休業制度とは、子どもが1歳(保育所に入所できないなど、一定の要件がある場合は最長2歳)に達するまで、仕事を休業できる権利を保障した制度です。

父母が同時に育児休業を取得する場合、原則1歳までとされる休業可能期間が、1歳2カ月までに延長されます(パパ・ママ育休プラス制度)。また、父親が子どもの誕生後8週間以内に育児休業を取得している場合は、再度育児休業の取得が可能です。

育休というと妻・母親が対象とのイメージを持たれがちですが、実際には夫・父親でも問題なく取得できます。

育児休業中は原則として就労は不可とされますが、最初の半年間については雇用保険により給与額の67%にあたる「育児休業給付金」が支給されます。なお、この給付金は非課税で社会保険も免除されるので、実質的には給与額の80%程度を取得できる可能性があります。

そして2022年4月の育児・介護休業制度改正により、アルバイト・パートの方の育児休業の取得要件が緩和されました。それまでは「引き続き雇用された期間が1年以上」との要件がありましたが、4月からは撤廃されています。つまり労働期間が1年未満でも、育児休業を取得できるわけです(ただし、子どもが1歳6カ月までの間に契約が終了することが明らかではない場合のみ、取得可能)。

10月からは「産後パパ育休」が創設

2022年10月1日からは、産後パパ育休(出生児育児休業制度)の制度が新たに施行されます。法律改正が多いですね。。これは男性版の産休制度ともいわれ、子どもが生まれてから8週間以内であれば、育児休業制度の規定とは別に4週間まで取得可能です。

産後パパ育休においても、育児休業制度と同額の給付金が支給されます。しかもこの制度の最大の特徴は、労使協定が締結されていて労働者が同意する範囲において、休業中でも就業できるという点です。これは既存の育児休業制度と大きく違う点といえます。

さらに10月から、育児休業制度と新設される産後パパ育休は、どちらも2回に分けて取得可能となります。原則1カ月前までに申し出を行い、取得の際に申し出ることで取得可能です。

注意点

父親が男性育休を取得する場合に気を付けたいのは、収入の減少と上司・同僚との関係性です。

育児休業中は育児休業給付金が支給され、非課税・社会保険料免除もされますが、それでも就労中に比べると、おおむね2割程度の収入ダウンは避けられません。家賃・ローンの支払い状況などを踏まえ、収入が下がった時の対策を事前に考えておく必要があると思います。

また、当然ながら育児休業を取得する場合、長期間にわたって出社できなくなるため、自分がこなすべき仕事を上司や同僚に回すことになるケースも発生します。

もし育児休業を取得する場合、制度上では「原則1カ月前まで」との定めがありますが、もっと早い段階から上司・同僚に相談しておくのが望ましいと言えます。

最後に

長文となってしまいましたが、男性が家庭で大黒柱となっているケースが多く、なかなか休めないと考えている男性労働者も少なくないでしょう。もし男性育休を取得する場合は、家計の収入減、職場での仕事の引き継ぎなどの対策を早めに行い、企業としては休みやすい職場環境を整えておくことが大事といえます。

また、すべての社員が働きやすい環境を作り上げるためにも、改正内容を熟知した上で早急に対応を検討する必要がありますが、就業規則の変更は法的な知識が必要です。厚生労働省のホームページには法律に合致した就業規則モデルが公開されていますので、それを参考にされても良いですし、専門家と相談しながら見直しを進めてはいかがでしょうか。

この記事を書いているのは・・・
八重樫 一行(やえがし かずゆき)/特定社会保険労務士
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