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パワハラ保険の加入が倍増!?

改正労働施策総合推進法、通称「パワハラ防止法」で2022年4月から中小企業に対策が義務づけられ、中小企業にも範囲が広がり、適用されることになりました。
各企業で対策や体制整備がされるなか、パワハラ保険の加入が増加しました。今回は、その増加の背景を見ていきたいと思います。

対策はしているが

ハラスメントの理解を深めるために従業員に対して、事業主の方針の明確化、周知・啓発を行い、社内研修や外部講習会に参加する機会や相談窓口を設ける企業は多くなってきましたが、被害者が我慢していることにより、パワハラの問題が大きな問題とならないケースもあり、ハラスメント防止体制を整えていても、訴訟に発展するリスクはゼロではありません。

パワハラ保険

そのような中、パワハラ保険に注目が集まっています。パワハラ保険とは、敗訴した際の損害賠償や慰謝料、訴訟費用などを補償するもので、損保会社が販売する「雇用慣行賠償責任保険」のことです。本タイプの保険は、東京海上日動火災保険、損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険などが扱っています。パワハラ保険は企業の任意加入ですが、こちらの4社の調査によると、2022年3月末時点の契約の合計件数は、約9万件で4年前に比べて倍増しており、リスクマネジメントの一つとして、パワハラ保険の活用拡大が見てとれます。

また、パワハラ防止法は2020年6月に施行され、当初は大企業のみが義務化の対象で、中小企業は努力義務とされていました。今年4月以降、中小企業も違反した場合は厚生労働省の指導や勧告の対象となりました。対応が不十分な場合には、従業員から訴えられる可能性も高まっていると言えます。

しかし、中小企業の間では、義務の対象となったことが十分に認知されていない可能性があります。日本損害保険協会が昨年7月に中小企業約1000社を対象にした調査では、ハラスメントによる従業員からの訴訟リスクに対し、「対策や対処をしていない」と答えた企業は52.5%に上っています。保険加入が増加しているとはいえ、全体をみると対策を講じていない企業が多いことがわかります。この先、企業としてどのような対策を講じるか、考える必要があります。

最後に

職場の労働環境は様々ではありますが、事業主側が留意していても、従業員側がパワハラと受け止めるケースがありますし、さらに訴訟は相手の気持次第で起こると言っても過言ではありません。人それぞれ価値観や考え方は違いますので、複数の人が集まる企業組織の中で働いていれば、人と人との関係性に何かしらの影響を与えることがあります。人の気持ちをコントロールすることは難しいですが、ハラスメント防止には、まだまだできることがあるかもしれません。企業のリスクマネジメント策として、企業もそして専門家である私も視野を広げていきたいと思います。

最後まで、お読みいただきありがとうございました。

この記事を書いているのは・・・
八重樫 一行(やえがし かずゆき)/特定社会保険労務士
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