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金融庁は、約4,000社の上場企業に対して、女性管理職率や男女の賃金格差に関する情報の公開を義務化しました。今回は金融庁が5月23日に発表した内容を元に、女性管理職率を高めるメリットに関するお話しをしたいと思います。
日本では、世界に比べて女性の社会進出が遅れており、女性管理職率も先進諸国に比べて低水準になっています。女性管理職率が上昇すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。
まず大きなメリットとして、多様性のある組織が形成できます。昨今、人材や雇用形態の多様化が進んでおり、様々なライフスタイルを持った人が働いています。
また女性社員が悩みを打ち明けやすい状況を作れるのも、女性管理職率を上げるメリットです。たとえば、女性ならではのプライベートな悩みは男性管理職や男性社員に相談しにくいものであり、同性の相談相手を求めることがあります。
女性管理職が配置されていれば、女性社員の悩みを聞きやすくなるため、部下の状況をより判断しやすくなります。
女性管理職率が高いことによって、企業価値を高められるメリットもあります。これは先ほどの金融庁の発表をみても分かるように、投資家は「女性管理職率がどれくらいか」といった項目を、企業価値を判断する際の参考にします。
海外の先進諸国をみても、女性管理職率の割合は高まっており、世界的な傾向として「女性管理職を増やそう」という流れになっています。女性管理職率が高ければ、そうした世界のトレンドに乗っている企業として、一定の評価を受けられるでしょう。
ここまで女性管理職率を高めるメリットについてみてきました。もちろん女性管理職率を上げるのは重要ですが、注意したい点が二つあります。
まずは、「女性管理職を増やせれば増やすほどいいのではなく、ある程度のバランス感覚が必要である」点です。女性管理職を増やせば増やすほどいいのではなく、男性管理職とのバランスを取り、組織の多様性を維持するのが重要です。
また「女性管理職率を上げることだけを目的に女性管理職を増やしてはならない」点にも注意しましょう。「女性管理職率を上げなければ」という意識だけで、適性のない女性を管理職にしてしまうと、組織としての公平性が薄れてしまいます。
重要なのは、性別に関係なく、管理職として能力のある人間を昇進させるフラットな人事評価です。企業としての価値を高めるために、闇雲に女性管理職を増やそうとするのは、おすすめはしません。
この記事を書いているのは・・・ 八重樫 一行(やえがし かずゆき)/特定社会保険労務士 ご相談はこちらから |